愛犬の健康にとって、歯磨きは寿命に大きな影響を与えると言われています。
本記事では、犬の歯磨きがどのようにして愛犬の健康状態や寿命に影響を及ぼすかについて、論文や研究内容も含めて掘り下げていきます。
犬の歯磨きはなぜ大切?
そもそも犬の歯磨きが重要な理由として、犬の歯磨きは単に口腔衛生を保つだけでなく、犬の健康に直結することが挙げられます。
歯磨きを怠ると、多くの健康問題を引き起こす可能性があります。
まずは、実際にどのような影響があるかについてまとめます。
犬の口腔衛生と全身の健康
犬の口内には常にバクテリアが存在し、これが食事などの残りカスを利用してプラークや歯石の形成を促します。
プラークとはバクテリアの膜で、これが歯に付着して硬化すると歯石になり、これが歯周病となります。
歯周病は、歯茎の炎症や歯の損失につながるだけでなく、心臓病、腎臓病など、全身に影響を及ぼす重篤な健康問題を引き起こす可能性があります。
定期的な歯磨きにより、バクテリアの動きをコントロールでき、リスクを大幅に減らすことが可能です。
歯石とプラークについて
プラークと歯石は犬の口腔衛生における大きな問題です。
歯石は取り除くのが困難なため、一度付着すると基本的に手術が必要で、放置すると歯周病を引き起こします。
歯磨きによって歯周病のリスクが軽減され、犬の口腔衛生が大幅に改善されます。
以上から歯磨きの重要性がわかります。
犬の歯磨きをしないと寿命はどうなる?
歯磨きが重要性である理由は他にもあります。
実際に、歯磨きをしない場合は寿命にどのような影響があるのかについて詳しく説明していきます。
歯磨きが寿命に及ぼす影響
定期的な歯磨きは、歯周病のリスクを減らし、犬の全身の健康を維持するための重要な手段です。
つまり、歯磨きによる歯周病の予防は、全身疾患の発生リスクを減らし、犬の健康寿命が延びると言われています。
全身疾患を引き起こす原因は、口腔内のバクテリアが血流に入り込み、全身に影響を与えるためです。
歯磨きによってプラークと歯石の蓄積を防ぎ、口腔内のバクテリア量を管理することで、全身の健康状態を改善して長寿を実現することが期待されます。
また、このような報告もあります。
Jane Bellows博士は、「例えば、毎日犬の歯を磨く場合、その犬は15〜17年生きる可能性があるが、磨かない場合は11〜13年となる」と述べています。
この研究では、適切な歯磨きが犬の全体的な健康と寿命に大きな影響を与えることを示しています。
歯周病と腎機能障害の研究
犬の歯磨きと寿命の関連性については、他にも複数の研究が行われています。
別の研究では、歯周病と腎機能障害の関連が指摘されています。
歯周病が全身の健康、特に腎機能に影響を与え、結果的に寿命に影響を与える可能性があることを示唆しています。
総じて、定期的かつ適切な歯磨きは犬の口腔衛生を保つだけでなく、全身の健康を維持し、最終的には寿命を延ばす効果があることが分かります。
適切な歯磨きの方法
正しい歯磨きの技術と知識は、犬の口腔衛生を維持し、その全身の健康を支える上で不可欠だということがわかりました。
では実際に、効果的な歯磨き方法について詳しく説明します。
①歯ブラシの選び方と使い方
犬用の歯ブラシは、サイズや毛の硬さが異なるため、犬のサイズや口内の構造に合ったブラシを選ぶことが重要です。
小型犬や子犬には、小さくて柔らかいブラシが適していますが、大型犬には大きめのブラシが必要です。
歯ブラシの使い方も重要で、犬の歯に垂直にブラシをあて、円を描くように優しく磨くことが推奨されます。
強く磨きすぎると歯茎を傷つける恐れや歯磨きを嫌いになる可能性があるため、注意が必要です。
当犬舎では色々試した結果、ソフトな感触で磨きやすく、コスパが良かった下記の歯ブラシを使用しています
良く頑丈で高すぎる歯ブラシもありますが、歯磨きは消耗品です。
安くても長持ちしてソフトなタイプが嫌がる子が少なくて磨きやすく、最もコスパが良かったです。
その子に合うものを選んであげてください。
②歯磨き粉の選び方と使用方法
犬用の歯磨き粉は、犬が安全に使用できるように設計されています。
犬用の歯磨き粉はフッ素を含まず、犬が飲み込んでも安全な成分で作られています。
人間用の歯磨き粉は、犬の歯周ポケットに残り炎症を起こす可能性があり、犬には適していないため使用しないように注意が必要です。
また、キシリトールは中毒症状の原因にもなるため、犬用のものを使用しましょう。
歯磨き粉を使う際はブラシに少量をつけ、犬の歯に直接塗り、ブラシで優しく磨きます。
しかし、初めて歯ブラシを使用するとびっくりする子もいるため、最初は少し舐めさせてみたり、歯磨きシートに歯磨き粉を塗ってから利用してみましょう。
やはり歯ブラシの方が効果は大きいので、慣れたら少しずつ歯磨きに移行してみましょう。
犬用の歯磨き粉としては、下記のものがオススメです。
うちの子も歯の色が少しずつ綺麗になり、口臭もほとんどなくなりました。
何より、味が美味しいため歯磨き嫌いなも食いついてくるようになったのが、本当に助かっています。
3歳以上、歯の色が悪い、歯磨きが嫌いな子、口臭のある子などに当てはまる方はぜひ一度試してみてください。
③歯磨きの頻度と効果的なタイミング
犬の歯磨きは理想的には毎日行うべきですが、最低でも週に数回は行うことが推奨されます。
しかし、毎日は難しい方もいると思います。
歯垢が歯石になるのは3〜5日ほどであるため、最低でも3日に1回は行えると良いです。
また、最適なタイミングは、犬がリラックスしている時です。
多くの犬は運動後や食後にリラックスするため、これらの時間帯を利用するのが良いでしょう。
④犬が嫌がる時の対処法
犬が歯磨きを嫌がる場合は多く、徐々に慣れさせることが重要です。
基本的な流れとしては
- 最初は歯ブラシを見せて触らせる
- 次に歯ブラシや歯磨き粉の味に慣れさせる
- 歯磨き粉を舐めさせてみる
- 犬が歯ブラシに興味を持ち始めたら、シートで優しくマッサージするように磨く
- 徐々にブラシを使って磨く習慣をつけていく
少しずつ段階を上げてみて、頻度を増やしていきましょう。
犬が歯磨きの際は、落ち着くようにして、歯磨きを楽しい経験として捉えられるようにご褒美を使うのも有効です。
歯磨き後におやつを与えるなどして、歯磨きとポジティブな体験を関連付けることが重要です。
このプロセスは時間がかかることもありますが、犬が歯磨きを安全で快適なものと感じるようになるまで根気よく続けることが大切です。
それでも歯磨きが難しい子も多いので、飼い主の負担がかなり大きい場合は歯磨きシートを利用しましょう。
意地でも嫌がる子の場合はトレーナーでも大きなストレスを感じるレベルです、双方のストレスを減らしましょう。
歯磨き以外の口腔ケア
歯磨きは犬の口腔衛生の基本ですが、他にもさまざまな方法で愛犬の歯と歯茎を健康に保つことができます。
これらの方法は、特に歯磨きに抵抗がある犬や追加のケアが必要な犬にとって有効です。
口腔ケアふりかけの利用
歯磨きを嫌がる子にはフードに振りかけるだけの口腔ケア用品がかなりオススメです。
私はよく仕事で
- 歯ブラシを嫌がって壊してしまう
- 口を触らせてくれない
- シートすらも嫌がる
- 飼い主の指を噛んでしまう
- 適切に磨けていない
こういった方をよく見かけます。
結果、飼い主のストレスが大きくなり、歯磨きがおろそかになるだけでなく、愛犬との関係性もかなり悪くなってしまう方が多いです。
そういった方には無理して歯磨きをしてもらわず、”このこのふりかけとおもちゃの併用”をオススメしています。
私も愛犬に試してみたら、1〜2週間で口臭が減り始めて、歯の色も少しずつ綺麗になりました。
効果の理由として、歯周病の原因となる因子に、ふりかけに含まれるグロビゲンPGが反応して、汚れを取ってくれます。
また、歯周病予防効果のある乳酸菌によって口内フローラを保ってくれるためです。
無添加で安心でき、歯磨きを嫌がる子や普段おやつを食べな子でも、美味しいからすんなり食べてくれる子が多いです。
ご飯を食べながら歯磨きもできるイメージで、とても気楽にケアができます。
歯磨きを嫌がる、歯磨きがストレスの原因である、犬のために何かしてあげたいけど定期的なケアは正直きついという方はぜひ一度試してみてください。
デンタルケア製品の利用
どれだけ歯ブラシを練習しても、すべての犬が歯磨きに慣れるわけではありません。
磨き残しもあるため、デンタルケア製品を利用することも一つの解決策です。
デンタルケア用のおやつやおもちゃは、遊びながら噛むことで楽しく手軽に歯をきれいにする効果があります。
また、口内環境を整えるスプレーやゲルも市販されており、これらは犬が歯磨きを嫌がる場合の代替手段として役立ちます。
私も多くの子を育てているので、歯磨きが苦手な子には、シートや歯磨きガム、下記に説明するふりかけをいつも利用しています。
サプリメントの活用
犬の口臭を軽減するためには、サプリメントの使用も有効な方法の一つです。
サプリメントに関しては、口臭の原因となるバクテリアの成長を抑制する特定の成分を含むものを選ぶことが重要です。
プロバイオティクスのサプリメントは、健康な口内フローラを促進し、悪臭を発生させるバクテリアの増殖を抑えるのに役立ちます。
また、亜鉛やクロロフィルを含むサプリメントも、口臭の軽減に効果があるとされています。
すべての犬に同じ方法が適しているわけではなく、用法容量に注意が必要なため、サプリメントは使用前に獣医師となるべく相談することをお勧めします。
適切に取り入れることで、愛犬の口臭対策をより包括的に行うことが可能になります。
まとめ:犬の歯磨きをしないと寿命はどうなる?
最後に、犬の歯磨きをしないと寿命はどうなるのか?についてまとめます。
- 歯磨き不足は歯周病の原因となる
- 歯周病は心臓病や腎臓病などの全身的な病気の原因となり、寿命を縮める要因となる
- 歯磨きをしている子を15〜17年の寿命と仮定すると、しない子の場合は11〜13年ほどであると想定される
- 重度の歯周病と腎臓機能のの異常には関連が見られる
以上になります。
毎日の歯磨きは重要だとわかっていても、定期的にやるのは本当に大変です。
もし歯磨きが困難、時間がない、めんどくさいという方はふりかけや歯磨きガムを利用して、飼い主様も苦痛を感じないようにされてください。
犬によって好みも変わるので、ひとまず色々なものを試してみましょう。
ここまで拝見いただきありがとうございました。
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